AutoCADブログ「今週のヒント」シリーズでは、英語版AutoCADブログで好評だったヒント集を日本語でお届けします。
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少し前の「今週のヒント」では、注釈の位置合わせについてご紹介しました。
今回は、オブジェクトと注釈が重なってしまう場合の対処方法をご紹介します。
製図の基本は「できるだけオブジェクトを重ねないこと」です。しかし、状況によっては重なりを避けられないこともあります。そんなときに役立つのが ワイプアウト と 文字マスク(背景マスク) です。
ワイプアウト
例えば、下図のようにバルブ記号の背後に配管線が見えてしまうことがあります。
AutoCAD Plant 3D のような専用ソフトでは自動的に処理されますが、従来のブロックを使用している場合は、線分をトリムして対応しているケースもあります。しかし、この方法は最適とは言えません。
そこで役立つのがワイプアウトです。
ブロック エディタで対象のブロックを開き、[注釈]タブの[マークアップ]パネルからワイプアウトを実行します。
使い方は非常に簡単です。ポリラインを作成する要領で境界を指定するだけでワイプアウトを作成できます。既存のポリラインを利用することも可能です。
この例では、バルブ記号と同じ「蝶ネクタイ」の形状になるよう、各頂点を順番に指定しています。
編集したブロックを保存して図面に戻ります。
すでにブロックが配置されている場合は、表示順序を変更する必要があるかもしれません。
SELECTSIMILAR[類似オブジェクトを選択]や QSELCT[クイック選択]でブロックを選択し、右クリックから[表示順序] → [最前面へ移動]を実行してください。これで、ワイプアウトによって背後の線分がきれいに隠れます。
ワイプアウトには、境界線(フレーム)の表示方法を制御する WIPEOUTFRAME システム変数があります。
- 0:フレームを表示・印刷しない(選択時のみ一時表示)
- 1:フレームを表示・印刷する
- 2:フレームは表示するが印刷しない
なお、PDF アンダーレイなどにも同様のシステム変数がありますが、FRAME コマンドを使用すると、それらをまとめて制御できます。
文字マスク(背景マスク)
ワイプアウトとよく似た機能が 文字マスク(背景マスク) です。
これは MTEXT にのみ適用できる、文字専用のワイプアウトと考えると分かりやすいでしょう。
例えば、詳細図の吹き出し文字が図面と重なってしまうと、読みづらくなってしまいます。
この場合もブロック エディタでブロックを開き、MTEXT をダブルクリックして編集します。
リボンがコンテキストの[テキスト エディタ]タブに切り替わるので、[文字スタイル]パネルの[マスク]をクリックします。
表示される[背景マスク]ダイアログでは、まず[背景マスクを使用]をオンにします。
通常は[図面の背景色を使用]を選択すれば十分です。必要に応じて任意の色を指定することもできます。
ブロックを保存すると、文字の背後にマスクが適用され、図面と重なっていても読みやすく表示されます。
文字の周囲の余白は、ダイアログ内の[境界のオフセット係数]で調整できます。
今週のヒントは以上です。
今回の例では、ワイプアウトと文字マスクを既存のブロックに追加しました。
もちろん、これらの機能は図面エディタ上で直接作成・使用することもできます。その場合は、少なくとも作成時には表示順序の問題を気にする必要はほとんどありません。
なお、今回の例は説明を分かりやすくするために、あえてシンプルなブロックを使用しています。実際の配管設計では、このような従来型のブロックを使用するケースは少ないかもしれません。また、詳細図の吹き出しについても、文字を属性にしたり、動的ブロックの移動アクションを追加したりすることで、より柔軟に管理する方法もあります。
ワイプアウトや文字マスクは、オブジェクト同士の重なりを見やすく整理できる便利な機能です。もちろん、製図ではできるだけ重なりを避けることが基本ですが、避けられない場面ではこれらの機能が大いに役立ちます。
図面の可読性を高め、より見やすい図面を作成するために、ぜひ活用してみてください。
