AutoCADだけでなくAutoCAD LTでもできるカスタマイズの基本 5 として、コマンドエイリアスのカスタマイズについてご説明します。前回のショートカットキーのカスタマイズでもコマンドエイリアスについて少し触れましたが、コマンドの別名(短縮名 線分(line)ならL、円弧(Arc)ならAなど)を変更する手順です。標準でも短縮名が設定されているので、無理に変更する必要はありませんが、AutoCAD標準のエイリアスでは「C」がCircle(円)になっていますが他のアプリケーション操作性を合わせてCopy(複写)に変更したい場合などに、このエイリアスを変更することで実行するコマンドを変えることができます。 カスタマイズエディタは使わないコマンドエイリアスのカスタマイズはリボン等のUIが作られる前から実施することが出来たカスタマイズなので、カスタマイズエディタを使用しません。PGPファイルと呼ばれるコマンドエイリアスを定義したテキストファイルを直接変更してカスタマイズします。 PGPファイルの編集従来はAutoCADのサポートパスの直下から直接テキストエディタ等で開いて編集していました。最近ではリボン上に直接PGPファイルを開くためのコマンドが配置されているので、これを利用しましょう。リボンメニューの 管理|カスタマイズ|エイリアスを編集 ボタンをクリックします。 すると下図の様にacad.pgp(LTの場合aclt.pgp)ファイルが開きます。 バックアップを取得しようリボン等のカスタマイズに比べてシンプルなカスタマイズなので、壊してしまう事は少ないと思いますが、会社のパソコンで将来的には元に戻す必要がある場合にはバックアップを取得しておきましょう。リボンやツールバーのカスタマイズ等の場合には、CUIXファイルのバックアップをエクスプローラ等を使って行いましたが、PGPファイルが開いていますので、そのまま[名前を付けて保存]を選んで別の名前(ex:acadorg.pgp)を付けて保存しましょう。サポートパスの確認も要りませんし、エクスプローラも使いませんのでラクチンですね(笑)。別の名前を付けて保存したら、開いているPGPファイルは一度閉じて下さい。名前が変わっているのでこのまま編集しても変更が反映されません。 PGPファイルの構文PGPファイルを再度開いて下さい。カスタマイズを行う前にPGPファイルの構文を理解しましょう。構文と言っても非常に単純です。PGPファイルをスクロールして見てみると構文というかルールが見えてきます。 「;(セミコロン)」が先頭に入っている行はコメントですので無視してOKです。 短縮名, *コマンド名 短縮名と「,(カンマ)」「*(アスタリスク)」「コマンド名」が構文となります。スペースはあっても無くてもOKですが、他の行にならってスペースを入れましょう。それでは一番最後の行に実際に以下の様に追加してみましょう。 PGP, *REINIT入力したらPGPファイルを保存して閉じれば完了です。 変更した内容の確認変更した内容を確認してみましょう。PGPファイルの設定はAutoCADの起動時に読み込まれますのでAutoCADを再起動するか、再初期化のコマンドを実行する必要があります。再起動にも時間がかかりますので、再初期化のコマンドを実行しましょう。コマンドラインから REINITと入力します。再初期化のダイアログが表示されますので、PGPファイルにチェックを入れ、OKボタンをクリックして閉じます。 これでPGPファイルが読み込まれましたので、コマンドラインにPGPと入力してみましょう。先ほど実行した再初期化のコマンドが実行されるのが確認できます。 短縮名が重複したら?構文を間違えたら?短縮名が重複した場合は後から定義したものが有効となります。短縮名を既存のものと置き換える場合には、既存の短縮名をコメント化して、その直後に置き換えるものを定義すると分かりやすいかと思います。 構文を間違えた場合には、読み込んだときに間違えた行にエラーがありますと警告が出ます。エラー以外のレコードは読み込んでくれますので、間違えても安心です。 まとめコマンドエイリアスのカスタマイズは非常に簡単!カスタマイズはPGPファイル(acad.pgp もしくは aclt.pgp)を編集するだけで簡単に行えます。設定を反映させるには、再起動か再初期化(REINIT)のコマンドを実行します。短縮名が重複した場合には、後から(下に)定義したものが有効となります。エラーがあっても正しい構文のものはちゃんと読み込まれます。著者についてAUG-JPはAutodesk製品のユーザーで構成された独立したコミュニティです。 ユーザ同士の助け合いの場として、ウェブサイト、コミュニティ(SNS)などを運営しています。 多くの企業様にご協力を頂きながら全国各地でユーザ参加型の「学びと交流」を目的としたイベント 「AUG-JP WorkShop」を開催したり勉強会をサポートしています。Twitterでフォローする ウェブサイトを見る このライターによる他のコンテンツ