AutoCAD ビギナーにとって分かりにくい基本的なことについて、説明していきます。第3回は印刷についてその2です。今回は印刷するときに設定する項目のうち、・印刷尺度・印刷スタイル・ページ設定について説明します。印刷尺度の設定とは印刷尺度とは、印刷領域内のオブジェクトをどの尺度で印刷するかという設定です。AutoCADでは、基本的にモデル空間原寸でオブジェクトを作成するので、印刷したものを用紙上で何分の一として表示したいか=印刷尺度となります。モデル空間において原寸で作図されている場合、印刷領域を200分の1で出力する場合、下図の赤枠部分である尺度の「長さの単位」に「200」と入力します。ちなみに、その上に表示される1ミリメートルの単位部分は、第1回のテンプレートで説明したシステム変数MEASUREMENTの値によって初期値が変化します。メートル系の場合はミリメートルが初期値です。レイアウト空間でも考え方は同じですが、通常、レイアウトでは印刷尺度を1ミリメートル(メートル系の場合)=1長さの単位として設定し、ビューポートで必要な尺度を設定するのが一般的です。「用紙にフィット」にチェックを入れると、対象とした印刷領域が印刷可能領域に納まるように自動的に尺度が設定されます。このオプションは、レイアウト空間の印刷で印刷対象をレイアウトにした場合は使えません。印刷スタイルテーブルとは何でしょう?作成したオブジェクトを意図したとおりに印刷するために必要となるのが、印刷スタイルです。印刷スタイルには、以下の2種類があります。・色従属印刷スタイル(拡張子 ctb)・名前の付いた印刷スタイル(拡張子 stb)ここでは、ctbについて説明します。色従属スタイルという名前が示す通り、色によって線の太さや色を指定します。この場合の「色」とは色選択のダイアログにあるインデックスカラーのことであり、1~255番の番号の付いたインデックスカラーそれぞれに、色・濃淡度・線種・線の太さなどを割り当てることができます。一方Ture Colorとカラー ブックで色を指定した場合は、その色が優先されます。AutoCADに標準で付属している印刷スタイル、monochrome.ctbでは、255色のインデックスカラーのプロパティの色に黒が設定されており、インデックスカラーで書かれたオブジェクトはすべて黒で出力されるスタイルです。また、Screening 50%.ctbは、すべての色を濃淡度50%で出力する印刷スタイルです。例えば、インデックスカラー1である赤に、印刷時の色は青を、線の太さに1.0000mmを、2である黄色に、印刷時は黒、線の太さは0.5000mmを割り当てた印刷スタイルを作り、左のオブジェクトを印刷すると、右のように印刷されます。ページ設定で印刷設定を使いまわそうここまで見てきたように、印刷する際にはいろんな設定をする必要があります。それぞれの設定をページ設定を使って保存することができます。プリンタ・用紙サイズ・印刷領域・印刷尺度・印刷スタイルテーブル等を指定しておけば、いつでも誰でもそのページ設定を使えば同じように印刷することができます。ページ設定への登録方法は簡単です。印刷ダイアログで必要な設定をした後、一番上のページ設定部分の追加をクリックすると、ページ設定を追加ダイアログが表示され、ページ設定に名前を付けることができます。ページ設定は、ファイル単位で保存されます。ですが、他のファイルから読み込むこともできます。読み込む場合は、ページ設定の名前の横にあるボックスの右端をクリックして展開し、一番下にある「読み込み」を選んでください。(psname)また、パプリッシュの際も、1つのファイルにあるページ設定を他のファイルに適用させたり、他のファイルから読み込んだりすることが可能になります。対象となるプリンターや用紙サイズごとに基本となる印刷設定を作り、ページ設定に登録していつも同じように印刷できるようにしましょう。